遅くても抑えれます。最速125キロでも打者を打ち取る投球術

125キロでも抑えれる投球術の画像 スキルアップ

メジャーリーグでは最速が170キロに迫り、大谷選手が165キロを投げ、日本でも160キロを投げる投手が増えてきました。
高校生でもプロの注目を浴びるには150キロ近い球をを投げる必要が出てきました。

球が速いに越したことはありませんが、球速を上げることは簡単なことではありません。
現に僕も最近はピッチャーをやっていますが、せいぜいMAX125キロくらいしか出ていません。

球速を上げるトレーニング方法については別記事で解説するとして、
今回は「投球術」をメインとして、球が速くない人のために打者の視点も交えてお伝えしましょう。

変化球が投げれることが前提になるので、中学生以上の球速に悩む選手は是非最後まで見てくださいね!

投手有利なカウントを知り、カウントごとの対策を知る

よくフォアボールは点につながりやすいということが言われますが、球が遅いうえにフォアボールを出してしまっては抑えることは中々厳しいでしょう。

ストライクを取りたいときに取るというのは難しいことですが、どうすれば抑えることができるのかということを考えるためにはまずどのカウントを取れば抑える確率が上がるのかを知っておきましょう。

2ストライクを取れば抑えたも同然

012
00.3360.3090.138
10.3590.3320.169
20.3430.3530.198
30.4430.3670.224
参照:https://www.gixo.jp/blog/4049/

上の表はプロ野球のある年のカウント別の打率です。(横にストライク、縦にボール)
見てわかる通り、2ストライクを取ることによって抑える率が格段に上がります。
しかし、2ストライク3ボールだと2ストライクの中ではあまり低くありません。

結果的には2ストライクを取れば投手有利ということは変わりません。

逆に2ストライク以外では打率は3割をすべて超えています。
全ての打者が3割を超えるチームがあったらかなり強いですよね。

意外と1ストライク2ボールでも打率は3割5分を超えています。
まずはすべてのカウントにおいて、割合的には打者有利なカウントが多いということを覚えておきましょう。

特に大事なのは1ストライク1ボールと1ストライク2ボールから次の1球での打率の違いです。
・1ストライク1ボールの場合
→次の投球がボールの場合1ストライク2ボールとなり打率0.353
→次の投球がストライクの場合2ストライク1ボールとなり打率0.169
・1ストライク2ボールの場合
→次の投球がボールの場合1ストライク3ボールとなり打率0.367
→次の投球がストライクの場合2ストライク2ボールとなり打率0.198

つまり、この2つのカウントからは次をストライクにした方が圧倒的に打率が下がるということです。

なぜ2ストライクが有利なのかを知る

ではなぜ2ストライクを取ることでこれほど一気に投手有利な状況が生まれるのでしょうか。
理由は簡単です。
打者が迷うからです。

僕は独立リーグの挑戦時まで野手としてハイレベルな投手とも対戦をしていたので、
少し打者の目線に立って考えてみましょう。

多くの打者は三振をしたくないものです。
なので、ストライクを取られても三振にならない0ストライク、1ストライクは配球を読んで空振りしても良いスタンスで長打や良い当たりが打てるような意識で打席に立ちます。

しかし、2ストライクになったら空振りしてもいいスタンスから来た球に対応して空振りしないスタンスで汚くてもヒットになれば良い意識で打席に入ります。
そうなるとタイミングがずれたり、形が崩れることが多くなり、凡退してしまう確率が上がります。
だから、球種が多ければ多いほど打者は迷います。
ある程度意図的にコントロールできる変化球が多ければかなり迷います。

後述しますが、だからこそコントロールできる変化球が多くあることというのは、
打者を打ち取る上で圧倒的に有利なのです。

また、2ストライクからでもある程度空振りは良いスタンスで打席に入る2ストライクからでも長打を狙っている打者もいます。
(元から三振が多い中軸の打者に多い傾向)
そのような打者はコースが甘くとも予想されていない球を投げることで凡退させることができます。
ここでも球種の多さは生きてくるでしょう。


このように多くの打者は追い込まれると、
「どのコースに何の球種で来るかな~」
と悩んだ状態で打席に立つことが多いです。

だから結果的に凡退に終わることが多く、結果的に打率が低いのです。
逆に言えば、2ストライクからでも打率が落ちない打者は良い打者と言えるでしょう。

2ストライクを取れば圧倒的に投手有利になります。
なので、2ストライクを取ってからではなく、2ストライクを取るまでに何を投げればよいか、どう組み立てればよいか、次のセクションで考えてみたいと思います。

まとめ

  • 2ストライクを取れば打率が急激に落ちる
  • 打者は追い込まれると迷いながら打席に立っている
  • 2ストライクを取るまでの組み立て方を考えるべき

スピードが出ないなら、コントロールと変化球の数と質で勝負

球の速さというのは、打者を抑えるための十分条件ではなく必要条件です。
150キロ投げることができるから抑えることができるのではなく、抑える確率が125キロに比べて上がるというだけです。

それでは打者を抑える要素というのを挙げてみましょう。

  • 球速
  • コントロール
  • 変化球
  • 配球
  • 調子
  • 相性

こんなところでしょうか。

この中で球速は上げられないと仮定するのであれば、自分で意図的に高めることができる要素は
「コントロール」「変化球」
くらいでしょうか。
配球はキャッチャーがメインのことですし、調子は意図的に合わせることもできる面もありますが、できないことだってあります。

となると、「コントロール」と「変化球」のレベルを上げることによって、打者を抑える確率が上がっていくと考えられます。
その中でも、「変化球」に重きを置いて話していきたいと思います。

1球種増やすことは、球速を5キロ上げるのと同じくらい有効である

変化球で大事なことの1つは数。
つまり、球種の多さです。

これは先述している通り、球種が多ければ打者を迷わせることができ、配球を読ませないという点で非常に有効です。
ちなみに僕の投げる球種は、ストレート、ツーシーム、シュート、カットボール、スライダー、縦カーブ、チェンジアップ、スプリットとかなり多いです。

大事なことを伝えておくと、そこまで変化量が多くなくても問題ありません。
ただ、1球種は変化量が多い、いわゆる決め球みたいなのを持っておくと良いです。
あとは常にストライクが取れるストレート以外の球種は持っておきましょう。
僕の場合はスライダーが変化量が多く決め球となっており、カットボールを困ったら投げる生命線として使っています。

もし今現在で例えばストレートとスライダーしかない場合は、まずはもう1球種増やすことに挑戦してみましょう。
1球種増えるごとに、球速が5キロ上がると思ってください。

変化球のコントロールとピッチトンネルを意識して質を上げよう

次に質の話ですが、ポイントは「コントロール」と「ピッチトンネル」です。
コントロールは言わずもがな、意図したところに投げられるということです。

困ったらストレートになりがちですが、困ったときに変化球を投げることができれば、不利なカウントになった時に打たれなくなります。
多くの打者は、ストライクが入っていないとストレートを待つことが多いです。

0ストライクで打者の打率が高いのは、ストレートを待っているところにストレートを投げてしまうからです。
なので、ストレート以外でもストライクが取れる練習をしましょう。

さて、次にピッチトンネルの話ですが、ここ最近良く耳にするようになってきました。
ピッチトンネルの考え方については、メジャーリーガーのバウアー投手が動画にしてくれています。

日本語訳もついていて非常にわかりやすいので、見てみてください。

参照:Trevor Bauer「ピッチトンネルって何? バウアーが解説 (トレバー・バウアー)

このピッチトンネルをうまく使うことができれば、打者は同じ球種がきたと思って振りにいき、違う方向に曲がっていくため、打ち取ることができます。

僕の場合は、特にストレート、カットボール、シュート、スプリットについては球速差が少なく、変化も小さめのため、同じピッチトンネルを通して使うことが多いです。

さらにカットボールでストライクを取りに行くので、不意に来る甘めのストレートを多くの打者が見逃してくれます。
打者目線からしたらかなり厄介ですよね~

でも、これが球速が遅くても抑える大きなポイントです。

ストレートは見せ球に、変化球でカウントを稼いでいく

さて、最初のセクションで2ストライクまでが大事という話をしましたが、ではどう組み立てていけば良いのかという話です。

もちろん前提として、相手の打者のデータは無いという前提です。
もしデータがあったり、1.2打席目で傾向が出ていれば、それをもとに勝負していくべきです。

しかし、データがない場合は考えて組み立てていかなければなりません。
そうなった場合、2ストライクを取る上で最も重要なのは「1ストライク目を変化球で取る」
ことだと考えています。

それはなぜかというと、打者は投手がストレートでストライクを取りに行きたいだろうと考えることが多いからです。

カウントを不利にしたくないという気持ちは投手だけでなく、打者も考えています。
そうなると必然的に早いカウントから打ちにいって、ヒットにしたいのです。

そう考えると、早めのカウントのストレートを狙いに行く可能性が高い。
だったら、できればストレートに近い速めの変化球でストライクゾーンで勝負しましょう。

ストレートを狙っている打者であればあるほど、打たれる確率は下がります。
初球でストライクが取れれば、次の球は甘めのストレート以外であればOKです。

最も大事なのは、初球か2球目で変化球でストライクを取ることだと思っておきましょう。

もちろんこれはあくまで配球の一つの方法です。
毎回そうしていたら相手も策を練ってくるので、ストレート主体の配球に切り替える場面が少しあっても良いかもしれません。

ですが、ストレート中心しかできないと球速が遅い投手はカモになります。
これまで言ったように、変化球とコントロールで勝負していかなければならないので、ストレートよりも変化球を中心に磨いていきましょう。

有利に立ち、惑わせることができればスピードなんていらない

プロ野球の世界では、阪神の秋山投手やヤクルトの石川投手は平均球速が140キロ以下で名だたる選手を抑えています。

どちらの投手にも言えるのが、コントロールが良く、変化球が多いということではないでしょうか。
要するに「有利に立ち、打者を惑わせる」ことさえできれば、球速が無くても抑えることは難しくないのです。

ただ1つ勘違いしてはいけないので、遅くてもよいということではありません。
もちろん球速は速ければ速いほど、抑える確率を上げる要素になります。

しかし、変化球やコントロールを犠牲にしてまで球速にこだわる必要はないと思います。
球速を上げた結果、コントロールが悪化し、変化球の精度も下がるのであれば、ひたすら変化球を磨き続けてどの変化球でも三振が取れるような投手を目指す方が良いと思います。

野球の世界は面白いことに球が速いだけでは抑えることはできません。
実際に長い間野手として経験してきて、150キロ近い球を見てきましたが、速いだけの投手はタイミングさえ合わせておけば正直普通に打てます。

厄介なのは、速いうえにコントロールも良く、キレのある変化球を2種類以上投げてくる投手です。

今回は球速が遅いということを前提にお話をしました。
少しでも遅くても抑える投球術を身につけて、楽しいピッチングができるように頑張りましょう。

それではまた!

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